ユーモア、ファッション、ビューティーなど
どのジャンルでもアイデアの出しどころをずっと探っている
渋江修平
Shuhei Shibue
原点はデジカメでのコマ撮り
幼少期に好きだったことや夢中になっていたことは何でしたか?
僕は3人兄弟の末っ子で、兄二人と一緒によくマンガを書いていました。男の子がよく書くような創作バトル系で、強いやつがパンチをして敵をやっつける、的なやつです。家で紙に書いてその辺に置いていたら、それを見つけた兄らが続きを書いてくれていたこともありました。
映像の世界に興味をもったきっかけは?
高校ではデザインを学んで、大学は国立大学の美術学科に入学しました。専攻はデザインだったのですが、大学の先輩たちと一緒にグループ展をやるようになって、そこからオリジナルで映像を撮るようになりました。今のように一眼ムービーがなかったのでデジカメでのコマ撮りがメインでした。写真の方がクオリティを保てるので。はじめて撮った作品は『ごはんじかけのミサイル』というタイトルです。ちょっと笑えるような動画の作品を作っていました。
早い段階でフリーランスとして活動されていますね。
当時、素人が映像を投稿し、有名なクリエイターが審査員として出演する「デジタル・スタジアム」というNHKの番組があり、映像を作るたびにその番組に応募していました。ありがたいことに番組で僕の作品を取り上げていただき、スタジオに行ったことがあったのですが、そこで番組の関係者の方に声をかけ、映像制作の会社で働くことになりました。その後すぐにフリーランスとして細々と仕事をスタートして、少しずつ案件を頂きながら今に至るという感じです。
状況や空間に溶け込むように
商品や人を伝える表現を意識
渋江監督の強みの一つに、ユーモアある作品が挙げられると思います。一方で、面白さの表現は難しくて、やりすぎると面白くないですし、まさにトレードオフだなあと。
そうですね、カメラに向かって「ギャグやります!」「変顔します!」で笑わせたら本当にすごいですから。ドヤ感が出るともう笑えないですし、その要素はできるだけ除外して、あくまでも状況を感じられる撮り方をするなど、ちょっと考えないといけないかなと。スクールIE『やる気スイッチ』でも、勉強しているか覗きに来たお母さんの驚く顔をアップで撮りたくなるところを、娘の肩越しのカメラワークにするなどの工夫を入れています。
一方で、渋江監督はビューティーやファッション要素のある映像にも強みがあると感じる作品も多いです。
常々、アートをやりたいと考えています。インスタグラムのストーリーズ機能をつかった『15秒ランウェイ』は、日常の中で気づいたらT字をランウェイしているシーンを組み合わせた企画です。この企画でもかなりネタを出しましたが、わりと笑い以外のアイデアも持っています。出しどころを常に探っていて、どこかに入れたいなと虎視眈々と狙っています(笑)。
MV ならDAOKOさんの『さみしいかみさま』Re-Arrange ver.とか、ドラマなら江戸川乱歩ドラマ『人でなしの恋』などは自分でも気に入っていますね。
渋江修平 映像ショーリール 2019ver.
実は非現実的だけどなぜか主流。
そんな演出を見直すことでリアルが生まれる
オーディションではキャストに対し、どのような視点で見ているかをぜひ教えてください。
オーディションって、基本みなさんに同じことをしていただいて、その中で判断するものだと思うのですが、同じセリフと同じ振りをしていても、笑える人と笑えない人っているなあと思っていて。だからこそ一人でも多くの人を見たいとは感じています。何人か選ばせていただいた中から、最終的に主役にふさわしい華のある方を選ぶというスタイルです。
人を描く作品が多いからこそ、こだわっている部分はありますか?
全くリアルではなく、不自然な演出なんだけれどもなぜか主流になっているものって多いと思うんです。例えば、電話で通話していて、ふいに切れた後の「…もしもし、もしもーーーし!」とか、母親に想いを巡らせているようなシーンで「母さん…」とつぶやく…とか。すごくよく見るんだけど、でもそれって日常ではありえない。現場の人間もリアルではこんなことしないとわかっていても、それを求めているんでしょ?という空気があるからやっぱりそこに行きつくようなものってありますよね。
僕はその演技に対してとても違和感があるので、役者さんとそういう表現を見つけた時には、「実はリアルじゃないですよね」といったような会話をします。すると役者さんもすごく喜んでくれて、別のセリフや演技を追求することで現場の士気があがるのは感じています。それを共有しあえる役者さんと仕事をして、リアルな映像を作っていきたいですね。
笑いを描く表現はもちろん、日常のシーンへのリアリティの追求をする姿勢が非常に参考になりました。ありがとうございました!
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渋江 修平
Shuhei Shibue
長崎県波佐見町出身、フリーランス映像ディレクター
インパクト&エンターテインメントを心がけ、CM/MV/ドラマの監督として活動。
近年の監督作に「時代に流されたシャウエッセン」CM、「15秒ランウェイ」、小学生あるあるを描いた「プラズマ乳酸菌」CMなど
ACC 2019ゴールド受賞
釜山国際港国際2019 ゴールド受賞
ADFEST シルバー受賞
YouTube Ads Leaderboard受賞
「今、美大生が会いたい僕らの師匠」掲載など