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Director

計算と、挑戦。その気持ちを大切に
イメージを具現化させたい

中島 あもう
Amo Nakajima

ディレクターの魅力は
影響力の大きさ


中島さんの幼少期をお聞かせください。
テレビアニメの『タッチ』を観ては野球をして、『キャプテン翼』を観てはサッカーをして、『スラムダンク』を観てバスケを始めて…。何にでも興味津々な子どもだったんだと思います。姉が習っていたピアノを「自分もやりたい」と言って、4歳から中2までの10年間習っていましたし。
スポーツの中ではバスケが一番続きました。高校時代にはインターハイ、ウインターカップ、国体に出場する事もできたし、バスケを通して気合と根性が身につき、イメージトレーニングをする事の大切さを学べました。

何がきっかけとなって映像分野を志したのでしょうか?
高校で部活を引退した時点で、バスケットをプレーしてご飯を食べていく道を探ったのですが、実力と当時の怪我の状況を考え、厳しいという判断に至りました。そして、ずっと刺激を受けてきたテレビ番組を自分の手で作りたいと考え、大阪芸術大学に入学しました。卒制はドキュメンタリーを選んだのですが、当時学科長だった元博報堂CDの岩崎富士男さんの授業が面白すぎて、広告とCMに惹かれていきました。

新卒では大阪の制作会社であるアットアームズに入社されています。
ディレクター希望でしたが、配属は制作でした。演出への想いは心の奥底には残っていたものの、実際は制作の仕事に追われる日々でした。
その後TYOに転職をして、大阪から東京に転勤となり、有名で売れっ子のディレクターと仕事する機会が多くなりました。そこで「やはりディレクターの影響力は大きい」と感じました。そんなディレクター達と仕事をする中、自分だったらどういう演出をするか、どういうキャスティングをするかを考えながら制作の仕事をしていました。そして、自分のイメージした演出は間違っていないと思えたので、本格的にディレクターを目指そうと腹がきまりました。
Amo Nakajima

実写でもアニメーションでも
ほんの少しの遊び心は大切にしたい


2017年にはフリーランスの映像ディレクターとして独立されています。
アテがあるわけではなかったので、自主制作をしながら仕事に繋げていこうと思っていました。 それを知った映像ディレクターの大知 裕介さんが、「ウチの会社の仕事を手伝うか?」と声をかけてくれ、約半年ほどみっちり鍛えてもらいました。今思い出しても吐きそうなくらい本当に厳しかったですが、今でも大知さんからの「こんなクソダセェ映像作ってんじゃねーよ」という言葉がフラッシュバックして、遠くにいながらも身を引き締めてもらってます。(笑)

本格的に自分で仕事をし始めた当初は、Vコンテやインナーなどの依頼を頂くことが多かったですね。プレミヤとアフターエフェクトを使用して編集するディレクターということで重宝してもらえて、編集系やアニメーション系の仕事はわりとありました。とはいえ、実写で演技を撮るような仕事も切望していました。実写の魅力は、やはりキャストの演技が十人十色だからこそ、同じセリフでもその人によって表現や表情が違うこと。自分の演出次第でイメージ通りの演技を引き出す事も可能ですし、想定していた演技よりも、プラスとなる演技をしてくれたり、キャストや現場の状況に合わせて演出を変えると上手くいったり、そんなすべてが無茶苦茶おもしろくて。どんな小さな仕事でもやらせてもらって、本当に少しずつですが、信頼を積み上げて来られたのかなと思います。

ターニングポイントになった作品はありますか。
2018年の『P&G ジョイジェルタブ』でしょうか。この作品は反響が大きくて「斬新で面白い」と言ってもらえることも多かったです。
前半は不満を抱えたお母さん、後半はゆとりがあって優しいお母さん。この商品を使うことによってこんなに変わるというものを、前半後半で同じ表情で成立させるのがディレクターである自分に課せられたものだったので、そこは丁寧に描くことができたと思っています。

『こくみん共済coop 働き始めた娘へ/働き始めた私へ』は弊社イー・スピリットがキャスティングのお手伝いをさせていただきました。
ナレーションと娘の仕事が看護師という設定だけが決まっていたので、あとは自由に考えて演出コンテを描きました。その過程で、仕事に悩みながらも奮闘する娘役のキャスティングは本当に大事だと思って、「こんな仕事なんですが、いい人いますか」と連絡したら「いますよ」と即答して下さったんですよね。そして畦田ひとみさんを連れてきてくださった。求めていた要素が詰まった方で、まさにイメージにぴったりだったので「この人しかいない!」と思いました。
偶然ですが、『働き始めた娘へ』『働き始めた私へ』は画が一緒でナレーションが違うという点で『P&G ジョイジェルタブ』と同じなんです。そして、オフナレで物語が進むという点も共通しているので、心の声ディレクター的な仕事が続いているかもしれません(笑)。

心の声ディレクター(笑)!素敵なポジションだと思います!
CMを撮る上で大切にしている点はどこですか?

キャスト、音楽、美術、衣装と細部までこだわる中でも、どこかしら遊び心を入れたいというのはあります。クライアントを第一に考えたモノづくりの中に、遊び心をほんのちょっとでも感じられる部分を入れたいなと。その遊び心が引っかかりとなり、視聴者の心に残り、クライアントにとって最善の広告になると信じてます。それはタレントが出るCMに関しても思っていて、『タカラトミーしゃべくるTVCM』では、みやぞんさんが普段しないであろう表情を撮ることに挑戦しました。いいひとで好印象なキャラクターのみやぞんさんが、少しニヒルな感じの表情をする。従来のイメージとは違う表現ができたと思って手ごたえを感じた作品のひとつです。

【こくみん共済 coop 】新社会人篇「働き始めた娘へ」
【こくみん共済 coop 】新社会人篇「働き始めた私へ」

計算しつくしたイメージの実現


中島監督のキャスティングにおけるこだわりを聞かせてください。
オーディションをしてキャストを選ぶ際は冒険することはないかもしれません。自分の計算しているイメージを実現してくれるキャストを選びます。
これまでもそうでしたが、演出コンテを描いたときに自分の中で思い描いたルックスや表情、演技力を持っている人を採用するという傾向にあると思います。カメラや衣装の提案はウェルカムですが、キャスティングに関しては、今のところイメージ通りの方を集めて頂きたいという気持ちです。とはいえ、いつかイメージになかった方向性を提案してもらい、納得してキャスティングできる事があれば面白いかもしれないですね。

非常に参考になりました!ちなみに、今後こういったキャスティングをしたい、また、作りたい作品などはありますか?
キャスティングに関しては、事務所に所属している人だけじゃなく、もっと広く募ってもいいなと思っています。例えばSNSで一般公募してもいいですし、フリーの人でもいいですし、ストリート系の尖った役があるなら、渋谷や原宿にいる本当にその雰囲気を持っている人の方がハマるでしょうし。その辺のリアルがあればさらに面白そうですよね。
これまで携わった事のない新しいジャンルの作品に挑戦したいです。ファッションやビューティなど、ただただオシャレだったり、キレイだったり、アートディレクションされた世界を追求したりするような作品に挑戦してみたいです。最近の挑戦でいうと、はじめてのショートフィルムを作るために動き始めていて、今からワクワクしています。映画やMVなど、広告ではない映像にも興味があります。
そして、引き続き人の心を描く作品は継続してやっていきたいですし、例えば「心の声の演出といえば中島あもう」といったように、「〇〇といえば中島あもう」と言われるような監督を目指していきたいです。

中島あもう
Amo Nakajima

1986年6月21日生。三重県育ち。
大阪芸術大学卒業。

CM制作会社PM経て大知裕介氏に師事。
2017年からフリーの映像ディレクターとして活動中。

<監督作>
こくみん共済coop/新社会人篇TV-CM、タカラトミー/しゃべくるTV-CM、P&G/優しいママの怖すぎる本音WEB(R12)、
フマキラー/アレルシャットなど